まえだ・みほ

国際基督教大学を卒業後、大手広告会社に入社。退社後、ビューティライターとして活動を開始。最新の美容事情や化粧品の製品情報に精通しながら、ファッションや演劇、ゲーム、マンガになど幅広い視点からビューティを分析するのが得意。各媒体で美容記事を執筆するほか、著名人へのインタビューも多数。

ここ数年暑さが増している夏にエアコンを使わない人はごく僅かだろう。エアコンをつければ必ず室内は乾燥するし、室内が乾燥すれば肌はその影響をダイレクトに受ける。おまけに外に出れば強い紫外線を浴びてしまい……。汗や皮脂で目くらましをされているけれど、肌の奥は間違いなく乾いている。「乾燥しているからしっかり保湿しなきゃ」という自覚がある冬よりも、気が付いていない分、夏に起こる乾燥の悲劇のほうが、実は随分と深刻なのだ。

数カ月前を少し思い出してほしい。”冬から春”という季節の変わり目に「スキンケアやお手入れを少し調整した」という人はどのくらいいるだろう。春は新生活が始まるタイミングでもあるから、そういった”きっかけ”を上手く取り入れながら折々で調整していくのは、肌を育むうえでとても重要なこと。ちなみに春は、『気温が高くなるのに湿度が低いまま』というギャップのせいで肌が”勘違い”を起こしてしまうのだが、夏に勘違いしてしまうのは肌ではなくて”自分”。しかも、うっかりというレベルでなく、かなり重症な勘違いをしている場合が多い。

夏は『気温も高くて湿度も高い』という気候だから、春の分かりづらい状況と比べれば肌のリアクションはとっても素直。暑くてムシムシするから汗もかくし皮脂も出る。ココがまさしくひとつめの勘違いポイント。ダラダラ流れる汗とじわじわ肌の奥から溢れる皮脂のせいで、自分の肌は”潤っている”のだと錯覚してしまうのだ。もちろん、それは間違い。潤い保持に皮脂は必要だけど、皮脂が出ているからといって肌が潤っているとは限らない。むしろ、汗や皮脂に騙されているのだと疑ってかかるべき。

ひとつめの勘違いを抱えたまま、ほとんどの人が次の勘違いへと進む。それが「ベタベタするからスキンケアはサッパリでいいわよね」とか「夏のスキンケアは美白タイプにしないと」というもの。使用中のスキンケアをわざわざしっとり→サッパリに変えたり、こっくり系テクスチャーのアイテムを省くことで、「これで夏をスッキリ過ごせる♡」と思っているとしたら、知らず知らずのうちに肌の乾燥は進むばかり。美白系アイテムもまだまだサッパリ質感のものが多いから、乾燥まではカバーできない。肌が潤っている状態であればあるほど、バリア機能が働いて紫外線から肌を守れるという事実を考えるなら、美白よりも保湿に注力するほうが賢い選択なのだ。

リペアジェルを「夏の間は少しこっくり?」と思う人もいるかもしれない。しかし、むしろ”夏だからこそ”この質感を頼りにするべき。生命体技術で安定させた”生”のビタミンCやアミノ酸がエアコンや紫外線で進行する乾燥に「待った!」をかけてくれるのだから、できれば冬よりもじっくりとお手入れをしてほしい。それでも「どうしても」と言うなら、リペアジェルをリペアローションで”割る”のも手だ。収れん効果もあるから、40°C越えのような真夏日を気持ちよく過ごすための最適な相棒になれるはず。私も今夏はこのセットで過ごす予定だ。夏が終わる頃には、自分の選択が間違ってなかったのだと確信すると思う。